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日本刀の手入れと扱い方

日本刀は武器、刃物としての取り扱い上の注意だけでなく、刀霊や魂など尊敬の念をいだきながら、取り扱って欲しいものです。
もともと、武士の魂として刀に触れ、接し、刀とともに修業してきたものです。もう一度刀の正しい認識と、刀を見直し、刀を扱うことによって正しい礼法と作法を身につけてもらいたいと願います。
刀を手にするときは基本的に注意しなければならないことは、まず、片手で持つときは、鞘の鯉口の下を握り、親指が鍔に接するようにしなければなりません。また、人に刀を手渡すときは、柄を左に向けて鞘を持ち、刃を自分の方に向けるのが礼儀です。
他の人から所望されて刀身を見るときは、柄を握り、切先を上にし、直立させて、刃を自分の方へ向けながら差し出します。刀を抜いて見るとき、また見せるときは、刀を抜く前に、その刀に対して一礼するならわしです。つぎに、左手は鞘の鯉口のところを、右手は柄の鍔元を握り、棟を下に、刃を上に向けておもむろに抜くようにします。
刀身を見るときは息がかからないように心がけて下さい。昔の人は、刀身に息がかからないように、口の紙をくわえて刀身を見るならわしがあったほどです。刀を抜くときに、刀身を左右に向け横にすると鞘にあたり刀身を傷めることがありますから、注意しなければなりません。見終わると、棟を下に刃を上にして、鞘に刃をあてないように静かに納刀します。このとき、納刀に際して鍔鳴りをさせてはいけません。目釘をいためるだけでなく鯉口も害します。また、礼儀作法上、決して良いマナーとはいえないでしょう。

日本刀の手入れ

日本刀の手入れとは、古い油を拭いとって新しい油に塗りかえ、刀身が錆びないようにすることです。
古い油はできるだけ綺麗に拭い、新しい油を平均に薄くのばして塗ることが必要です。

手入れの要領

目釘抜き(注1)などで目釘を抜きます。抜いた目釘は紛失しないように注意して保管します。
次に、柄を外します。
左手で柄頭を確実に握り、棟側が自分の右肩に担ぐような感じで刀身を斜めに立て、右手の拳で柄を握っている左手の手首を打つと柄が緩んできます。打つとき、最初は軽く打ち、柄の締り具合を確かめながら打つ力具合を加減します。
柄が緩んできたら左手は柄を握り、右手親指を鍔にあてて鍔を押しますと茎が見えてきますので、適当なところで右手で茎を掴んで柄を抜き取ります。
柄を外したあと切羽や鍔を外し、ハバキを外します。もし、ハバキが固くて外れない場合は、茎尻を木槌で軽く叩くと外れます。
次に下拭いですが、刀身に付いている古い油や汚れを拭い紙などで拭き取ります。拭い方は拭い紙などを刀身の棟をはさむようにしてハバキ元から順次ゆっくりと油や汚れ拭き取ります。もし、油が取れないようなことがありましたら、脱脂綿やガーゼなどにベンジンやアルコールを染み込ませて拭い、そのあとから再度下拭いをします。
下拭いのあとに、刀の表のハバキ元から切先の方へ、平均にむらなくポンポンと軽く叩いて打粉をかけ、つぎに裏返して逆に切先からハバキ元の方へ打粉をかけます。また、棟にも軽く打粉をかけます。
打ち終えましたら、上拭い紙で、下拭いと同じ要領で拭います。一度で綺麗にならない場合は再度打粉をかけてから拭います。打粉を拭い取ると、刀の肌、地金が、綺麗に見えます。
最後に、ガーゼなどに油を染み込ませます。塗り方は下拭いと同じ要領で油を塗ります。塗るとき、油のつかない部分のないように確かめながら塗り、時には2、3回繰り返します。なお、布に油を染み込ませるとき、油が少なすぎてもいけません。また、多すぎますと刀に油が付きすぎて油が流れて鞘などを汚す可能性がありますので注意して下さい。油は薄くむらなく塗るのがベストです。なお、茎も軽く油を塗っておくと良いでしょう。
手入れが終わりましたら、ハバキ、鍔、切羽を収め、柄を差し込み、左手で柄も持ち、右の拳で柄頭を下から軽く叩いて収め、最後に目釘を打って終わりです。
最後に、新作刀や研ぎ上げた直後の刀は却って錆びやすいので、半年ほどの期間は特に注意して10日に一度は手入れをして頂くと良いでしょう。その他は最低でも春秋の2回ほどの手入れが必要です。
保管は湿気の少ない場所で横にして置くのが良く、刀箱や布の袋に乾燥剤を入れて桐箪笥の上段に保管すれば理想的です。

模造刀の手入れ方法

刀身の手入れ
無水アルコール(エタノール)を染み込ませたガーゼや脱脂綿などで刀身を拭います。
次に油を染み込ませたガーゼなど柔らかい布などで刀身を拭います。この時、油は微かに塗れた状態が最適にて油が垂れるような場合には油が垂れないよう拭い直して下さい。
打粉はかけない方が良いでしょう。何度も打粉をかけた場合には刃紋が消える可能性があり、また、刀身の鍍金にも悪影響を及ぼす可能性があります。その他の注意として柄は外さないで下さい。柄を外した場合には、鍔の緩みやハバキの緩みが発生する可能性があり、また、柄の茎穴に僅かな隙間が発生して茎に緩みが感じられ、その後には柄が割れる可能性も出てきますので出来る限り柄は外さないで下さい。
その他、鍔や縁頭の金具類は、油が微かに染みた布などで拭います。
無水エタノール 刀油 ネル生地(汚れ落とし用と乾拭き用と油用の3種類)
(注1)
目釘抜きは金属製のものがありますが、出来る限り自然な材質を用いた方が良い。
参考に私が愛用してます目釘抜きは象牙・水牛の角・竹で作ったものです。