森永清著書『戸山流居合』(昭和50年中秋)から抜粋
大正14年陸軍戸山学校で制定されました
陸軍戸山学校
1.明治6年陸軍最初の学校で、当初は欧式軍備の充実と各種調査研究を目的に創設されましたが
大正時代は体育武道と軍楽が主体となりました
2.大正4年、接戦格闘が重視され片手軍刀術から両手軍刀術に改め、一般の剣術と同様にする等
軍刀操法の研究と普及が主力になりました
戸山流居合の構成
1.修得容易で簡単であること・・・・・誰もが短期間で容易に修得できるものとしている
2.合理的であること・・・・・・・・・理屈に合致し特別な習練を要する技を除いている
3.実戦に即応できること・・・・・・・全て立ち居合とし座り、胡座、中腰は除いている
基礎居合6本 本居合8本の形からなってます
・美濃羽道場創始者: 美濃羽 等
・昭和40年から5年間にわたり京都府田辺市の森永清先生の直弟子となり、戸山流居合の手ほどきを受けた。
・その後、岐阜県関市へ戻り「居合の修錬」と「日本刀の斬れ味」試みに情熱を燃やし、居合を志し集まる仲間に
普及を図った。
・恩師、森永清先生から学んだ原点に立ち、現在は戸山流居合『美濃羽会』を設立し継承者の育成に励んでいる。
・東海地区においては平成2年戸山流居合愛好者で東海連盟を組織し、初代会長を務めている。
・平成20年11月没
美濃羽館長最後のTV映像
道場訓
目的:居合の修錬を通じて真意を修得し『常識ある社会人』になる。
①尊敬と敬愛の心を養う
②感謝と奉仕の心を養う
③プラス思考の心を養う
戸山流居合美濃羽道場での練習
居合いの練習は刃引きした真剣を使用します。真剣をお持ちでない方は道場に予備として所持してますので
ごの刀で練習できますが、最初は模造刀で基礎を習われても構いません。
形を覚えましてから、真竹の斬りの練習をしますが、試し斬りは形の一部として練習します。
試し斬りは竹を切った角度や切った竹の落ち場所や竹を切ったあとの留め太刀(柄頭が臍の辺を指す)が
出来ているかなどを研究します。
※ 刃引きした刀とは簡単に言えば刃を潰してある刀の事です。よって刀を購入してから一度も刃の手入れ
(研ぎ直し)はしていません。
毎週日曜日の午後2時頃から下記道場で練習していますので、ご興味ある方は一度見学されてみては如何でしょうか?
また、会員も募集していますので男女・年齢問わずお問い合わせ下さい!
お問合せ先は 0120-47-0545 又はメールにて宜しくお願い致します。
【居合の練習場所】
形居合:岐阜県関市春日町 旧警察道場 地図
試斬り:岐阜県関市下有知・刀匠の里内 地図
練習の日時は自由ですが、我々は日曜日の午後から約5時間前後の練習をしてます。
基本形を修得後、奥居合・組太刀などを習います。
【会費】 入会金なし 年会費:5,000円(スポーツ保険加入含む)
(○の箇所で竹を真剣で斬ります。なお、ムービーは居合道2段時に撮影したものです)
(形居合はスローで設定しています)
1本目 前の敵
右片手で逆袈裟に斬り上げる
「敵が後退して怯んだ所を」
○真向に斬り下げる
血振りしてから納刀
2本目 右の敵
胴斬りに斬り付けます
「敵が後退して怯んだ所を」
○真向に斬り下げる
血振りしてから納刀
3本目 左の敵
右片手突きで敵の胸部を突く
「敵が真向に斬りつけてくる刀を」
右手で刀を頭上へ上げて敵の刀を左へ受け流す
「敵が前へよろけた所を」
○両手で右袈裟に斬り下げる
血振りしてから納刀
4本目 後の敵
右手で上へ抜刀し、身体を回転して片手左袈裟で斬り付ける
「敵が後退した所を」
○真向に斬り下げる
血振りしてから納刀
5本目 直前の敵
○両手で真向に斬り下げる
「敵が後退した所を」
水月を突く
血振るいしてから納刀
6本目 前後の敵
前の敵を牽制してから後に向き後敵の刀を左へ受け流し、
○右袈裟に斬り下げる
○前の敵を真向に斬り下げる
血振るいしてから納刀
7本目 右左の敵
○右敵を右片手で左袈裟に斬る
○左敵を右袈裟に斬り下げる
「敵が後退した所を」
水月を突く
上段に構え残心を示す
血振りしてから納刀
8本目 突破
○右袈裟に斬り、左袈裟に斬る
○同じく、右袈裟に斬り、左袈裟に斬る
○最後の敵を真向に斬り下げる
血振りしてから納刀
用 語 説 明 |
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間合い | 敵(相手)との間隔を指す。お互いに一歩踏み込めば敵を討ち斬れる距離間隔を一足一刀の間合い |
五行 | 上段、中段、下段、八双、脇の構えを指す |
上段の構え | 刀を頭上に構えて敵を威圧する構え |
中段の構え | 刀を体の正中線上にあり切先は相手の喉に向けて構える |
下段の構え | 切先を水平より少し下げて構える |
八双の構え | 構えを右肩の脇に寄せて切先を後上方を向かせた構え |
脇構え | 中段の構えから右足を引いて構えを右脇下に構える |
袈裟斬り | 僧侶が袈裟を掛ける方向と同じ方向に斬り下ろす。袈裟掛けとも云う |
目付 | 目配りの事で、広く全体を見ること |
物打 | 刀身の横手3寸位から下から中程の少し上までの間 |
刀の柄の握り方
柄の握り方には色々な方法があるようですが、左手は金具の頭の元を起点に小指・薬指・中指の三本で柄を握り中指は解緊状態にし、人差し指と親指で
軽く支える感じで握ります、右手は縁金具の元から左手と同じ方法で握る方法が、刀の剣先を走らせて振ることが出来るように感じます。
この握り方の場合、縁金具にも触れず、鍔にも触れない状態となります。
時々聞く話しですが、「透かし鍔は指を怪我させることがあるから透かしの無い鍔が良い」という件。これは鍔元から握っているため、指が鍔に当たって怪我
をする事例です。前記の握り方は指が鍔に当たらないため、鍔で怪我することはありません。
刀の抜き方・納め方
抜き付けや納刀でどのようなことに注意するべきか。刀の抜き出しで鞘の刃側を削って傷めてしまった。この原因は刀を抜き時に峰を鞘で滑らして抜いていないからです。
多くの人は刀を抜く時には刃を鞘に当てて抜いているようです。しかし、納刀の場合は峰を滑らして刀を納めている人が多いのです。抜き付けも納刀同様に峰を滑らして動作
するようお奨めします。